吹奏楽 用語で検索してたどり着いた方へ。
練習や合奏で飛び交う言葉の意味がふっと腑に落ちるように、基礎から丁寧に整理しました。
まず全体像をつかむために、吹奏楽用語の一覧という観点で主要カテゴリを俯瞰しつつ、現場で役立つ合奏用語や、覚えておくと会話が楽しくなるかっこいい吹奏楽用語をご紹介。
そして日々の指示に登場するよく使う言葉まで、一気にわかりやすく解説します。
専門書のように堅苦しくならず、でも要点は外さない。
そんな温度感でお届けしますね。
- 吹奏楽の現場で頻出する用語の意味と使い分け
- 記号や発想標語など記譜上の読み解き方
- 合奏で伝わる言い方と合わせ方のコツ
- 便利に引ける用途別の用語ミニ一覧
吹奏楽の用語を理解するための基本
出典: 楽器お役立ちガイド(イメージ画像)変化記号と反復記号の基礎
出典: 楽器お役立ちガイド(イメージ画像)変化記号は、音高を半音または全音程度で一時的に変更するための記号です。
臨時記号は原則として記載された小節内で効力を持ち、小節線をまたいで効力を継続させたい場合は次小節にもう一度記す必要があります。
調号と臨時記号の優先順位は「臨時記号がその小節内では最優先」です。臨時記号が付与された音の同音異名(例:D♯とE♭)は、調性や和声の文脈で使い分けられます。
| 記号 | 読み | 作用の目安 | 用いられやすい文脈の例 |
|---|---|---|---|
| ♯ | シャープ | 音を半音高くする | 和声的短音階の導音の引き上げ、上行メロディの半音進行 |
| ♭ | フラット | 音を半音低くする | 下行メロディの柔和化、変化和音の構成音 |
| ♮ | ナチュラル | 元の音に戻す | 調号や直前の臨時記号の解除 |
| ×や𝄪 | ダブルシャープ | 長2度分(半音×2)上げる | 和声の機能を保ったまま半音階的に増加 |
| 𝄫 | ダブルフラット | 長2度分(半音×2)下げる | 倍減的な下行、借用和音の整合 |
臨時記号の適用範囲は同名異位の音にも及びます(同じ高さ・同じ名前の音)。
ただしオクターブ違いの音には及びません。
記譜が混み合う楽章では、見落としを防ぐためにタイミングごとに鉛筆で注記しておくと事故が減ります。
反復記号は、曲の構造を短く記すための地図です。初見で迷いやすい箇所を整理します。
- 反復記号の縦線と点:対になる場所まで戻って演奏します
- 1番カッコ/2番カッコ:繰り返し1回目と2回目で弾き分けます
- D.C.(最初へ戻る)、D.S.(セーニョへ戻る):戻り先が違います
- セーニョ:D.S.の戻り目印
- to Coda/Coda/Fine:飛ぶ、終結部、終わりの合図の三点セット
判断が曖昧になりやすいのは「D.S.の後にFineで終えるのか、to Codaで飛ぶのか」です。
譜面の順路を鉛筆で矢印化しておき、出番前に指で一度なぞるだけでも、合奏中の停止が減ります。
反復内のダイナミクスやアーティキュレーションが回次で変わる指定(例:1st time p、2nd time f)がある場合、該当小節の上段に丸囲み数字で回次を書き込んでおくと安全です。
奏法記号と発想記号の要点
奏法記号は「どう鳴らすか」、発想記号は「どんな雰囲気で」の指針です。
基本の解像度を上げると、同じ譜面でも仕上がりが変わってきます。
- スラー:音と音を滑らかにつなげます(同音間はタイ)
息や弓の流れを途切れさせず、子音(タンギング)を控えめにします。フレーズの最初と最後の音形が均されやすいので、入り・抜きの形を意識しましょう。 - スタッカート:短く切って歯切れよく
単に短くするのではなく、音量・音色を保ったまま音価比を調整します。四分音符のスタッカートは八分音符相当の長さを目安にするなど、曲内での統一を決めると整います。 - テヌート:音価をたっぷり保って
水平線のように音を支え、ピークを作らず保ちます。ダイナミクスがmf以下なら息の密度で、f以上なら輪郭の維持が鍵です。 - アクセント:その音に的確な重みを
発音の瞬間にエネルギーを集中。sfzと違い、後続の音価に応じて減衰の速さを調整します。 - ブレス記号(V):ここで吸って整える合図
吸う前に静止を挟むと縦が揃います。合奏では同時ブレスよりも「誰が残るか」を先に決めておくと響きが切れません。
弦・打・木金管を横断する用語も押さえておくと、指示が一本化されます。
pizzicato(指ではじく)、arco(弓で)、con sordino/senza sordino(ミュートあり/なし)、glissando(滑らかに移動)、flutter(フラッタータンギング)など。
発想記号は、dolce(やさしく)、con brio(いきいきと)、espressivo(表情豊かに)、maestoso(荘厳に)といった性格語が中心です。
テンポ語と併記された場合は、速度だけでなく音価の詰め方・間の置き方も整えると説得力が増します。
よくある取り違え
- スラーとレガート:レガートは奏法概念、スラーは記譜の具体指示。スラーがなくてもレガートで吹く指定は成立します
- タイとスラー:同じ高さを結ぶ線はタイ、異なる高さを結ぶ線はスラーです
これらの語は、音の長さ・重み・つなぎの共通化スイッチです。
パート全員で同じイメージを言語化してから音に移ると、あいまいさが解消され、合奏の密度が上がります。
強弱記号とダイナミクス
出典: 楽器お役立ちガイド(イメージ画像)強弱は立体感と方向性を作ります。
記号のレンジ感と変化の設計を具体化しておきましょう。
| 記号 | 目安 | コメント | 実践メモ |
|---|---|---|---|
| pp | とても弱く | 音程と発音の安定を最優先 | 大きさより芯。耳は前方ではなく内声へ |
| p | 弱く | メロディなら息は細く長く | 子音は最小限。語尾の抜き方を揃える |
| mp | やや弱く | ハーモニーの内声に合います | 音色を暗くしすぎない |
| mf | やや強く | 合奏の基準になることが多い | ここが水平線。上下の幅の基準点 |
| f | 強く | 音色が荒れない範囲で | アタックの角度を浅くして潰れを回避 |
| ff | とても強く | 量より密度を意識 | 体積よりも通りの良さに注力 |
| sf/sfz | 瞬間的に強調 | アタックを明確に | 直後の音価に合わせて減衰速度を調整 |
| fp | 強くすぐ弱く | コントラストが肝心 | 強→弱の間に支えを残すと崩れない |
変化記号では、crescendo(だんだん強く)、decrescendo/diminuendo(だんだん弱く)。
幅や速度を修飾する語で意図が細分化されます。
molto(とても)、poco(少し)、poco a poco(少しずつ)、più(より多く)、meno(より少なく)、mosso(動きを伴って)など。
クレッシェンドを成功させる鍵は、開始点と着地点の合意です。
たとえば「小節頭mp→3拍目mf→次小節頭f」といった数値化をセクション内で共有すると、無理のない線になります。
減衰では、音価の末尾を切らずに音色を軽くしていくと、響きを保ったまま薄くできます。
調号と移調楽器の仕組み
出典: 楽器お役立ちガイド(イメージ画像)調号は、楽曲で恒常的に上げ下げする音を宣言するラベルです。
♯系・♭系の出現順(♯はF C G D A E B、♭はB E A D G C F)を覚えておくと、初見のキー把握が速くなります。
短調は同じ調号の長調の相対調(例:C Durとa moll)として把握すると、暗譜が安定します。
吹奏楽では移調楽器が多く、譜面上の音と実音(コンサートピッチ)に差があります。
| 区分 | 主な楽器 | 楽器の譜面と実音の関係 | よくある落とし穴 |
|---|---|---|---|
| B♭管 | トランペット、クラリネット、テナーサックス | 譜面のC=実音B♭(全音下がる) | 鍵盤と合わせる際の音名の混同 |
| E♭管 | アルトサックス、E♭クラリネット、バリトンサックス | 譜面のC=実音E♭(長6度下がる) | 楽器間移動時の指運の錯覚 |
| F管 | ホルン、イングリッシュホルン | 譜面のC=実音F(完全5度下がる) | ホルンの読譜(記譜音域と実音域の差) |
| C管 | フルート、オーボエ、ファゴット、トロンボーン、ユーフォ、チューバ | 譜面のC=実音C(移調なし) | ユーフォの記譜(ト音・ヘ音)の切替 |
移調楽器では「指の形=譜面の音名」で練習するのが基本です。
合奏で鍵盤打楽器・ピアノと話すときは、最初に「コンサートピッチで話すか、パート譜音名で話すか」を決めておくと混乱を防げます。
チューニング指示やカウントダウンの音名は、統一言語で伝えるのが安全です。
ドイツ音名とスケールの基礎
吹奏楽の現場では、音名にドイツ語が頻用されます。
C(ツェー)、D(デー)、E(エー)、F(エフ)、G(ゲー)、A(アー)、H(ハー)。
Bはベーで日本語のシ♭に相当します。
半音の表し方は、♯がis(例:Cis)、♭がes(例:Des)が基本。
例外としてE♭はEs、A♭はAsなど、スペルが短縮されるケースがあります。
スケール(音階)は、長調=Dur、短調=mollで整理します。
C Dur(ドレミファソラシド)、a moll(ラシドレミファソラ)の関係のように、相対調で覚えると移調が容易です。
スケール内の主要な度数の機能も押さえましょう。
- 主音(Ⅰ):スケールの基点。安定の極
- 属音(Ⅴ):主音へ進む力を持つ。終止の推進力
- 下属音(Ⅳ):場面転換のきっかけになりやすい
- 導音(Ⅶ):半音上の主音へ引き寄せる力
スケール練習は、音程・指回し・息の流れを同時に整える効率のよい基礎です。
1日あたり上行下行を8度、4調ずつなど、具体的な量を決めると継続しやすくなります。
短調は自然・和声・旋律の三種類があり、和声では導音を半音上げ、旋律では上行と下行で変化が異なる点に注意が必要です。
吹奏楽の用語を練習や演奏で役立てる
出典: 楽器お役立ちガイド(イメージ画像)チューニングとピッチの理解
出典: 楽器お役立ちガイド(イメージ画像)チューニングは合奏の入口です。
一般的な標準ではA4=440Hzが基準とされていますが、吹奏楽の現場ではA=442Hzで合わせる団体も多く、会場の温度・編成・作品で微調整されます(出典:International Organization for Standardization ISO 16:1975 Acoustics standard tuning frequency A4=440Hz )
耳とチューナーの両輪で、次の順序が整いやすい流れです。
-
個人で基準音に合わせる(姿勢・息・口の開きの再現性を確保)
-
セクション内でユニゾンをそろえる(発音位置と音色の統一)
-
全体で和音を作り、うなりが消える位置を探す(第3音の純正化)
音がぶつかって揺れる現象がうなりです。
二つの音の周波数差が小さいほどゆっくり、大きいほど速く揺れます。
揺れが止まる点は一致点の目安。第3音は低め、完全5度はやや広めに取ると、純正の響きに近づきます。
温度や息の量でピッチは動きます。
朝は低め、照明熱で上ずる、といった傾向を前提に、楽器側の基本調整(抜き差し、ペグ、ラグやペダル)と、奏法側の微調整(息のスピード、口腔の容積、当て方)を切り分けて対処すると安定します。
合奏用語を場面別に整理
練習の現場で飛び交う言葉は、意味とアクションをセットで理解しておくと動きが速くなります。
進行・編成に関する言葉
- 合奏/分奏:全員での練習/セクションごとの練習
- セクション:木管、金管、打楽器、低音などのまとまり
- パート練:楽器ごとに集まる練習
演奏のそろえ方に関する言葉
- ザッツ(アインザッツ):出だしのタイミング
- 縦をそろえる:発音位置を合わせること
- ブレンド:音色が混ざり合う状態
- バランス:音量の配合を整えること
楽譜の読みと準備に関する言葉
- さらう:難所の確認、指回し、リズム整理
- 落とす:臨時記号などを適用し忘れること
- 調号:曲のスケールを示すサイン
伝達のコツは、何を、どこで、どのくらい、まで言い切ることです。
例えば「37小節の頭、ザッツは前に。
mpで、縦はスネアに合わせる」のように、場所・動き・量感を短文で具体化すると全員の反応速度が上がります。
よく使う言葉を初心者向けに
出典: 楽器お役立ちガイド(イメージ画像)初めての方がつまずきやすい基礎語を短く押さえます。
定義を揃えるだけで、合奏中の齟齬が減ります。
- スコア:全パートが書かれた総譜。全体像の把握に使います
- パート譜:自分のパートのみの楽譜。運用の主戦場
- アンサンブル:少人数での合奏。呼吸と聴き合いの訓練に最適
- フレージング:メロディのまとまりと息づかいの設計
- ハーモニー:同時に鳴る音の重なり。和音の機能と配合
- インターバル:音と音の距離。2度、3度、5度など
- ピックアップ(アウフタクト):小節頭以外から始まる出だし
- アーティキュレーション:音の切り方、つなぎ方の総称
用語は「聞いた瞬間に音で再現できる」まで落とし込むのが理想です。
わからない言葉はメモ化し、練習後に辞書やスコアで確認を。
1回で12個覚えるより、毎回2つ確実に覚える方が定着します。
かっこいい吹奏楽用語の例
言葉の響きは、出てくる音を導きます。場面に応じてニュアンスを選び分けましょう。
vivace(活発に)、brillante(華やかに)、espressivo(表情豊かに)、scherzo(冗談めいて)、appassionato(情熱的に)、dolce(やさしく)、legato(なめらかに)、risoluto(きっぱりと)、feroce(荒々しく)、grandioso(壮大に)、tranquillo(静穏に)、stringendo(だんだんせきこんで)。
同じテンポ指定でも、語の組み合わせでキャラクターは変わります。
allegro vivaceなら軽快さと推進力、moderatoなら節度と落ち着き。
合奏前に数語でイメージを共有してから音に入るだけで、仕上がりの方向性が早い段階で一致します。
吹奏楽用語の一覧を用途別に
用途別のミニ一覧です。
直前確認やセクション内での共通語彙づくりに役立ちます。
| 用途 | 用語例 | ひとこと解説 |
|---|---|---|
| 記号(高さ・反復) | ♯、♭、♮、D.C.、D.S.、to Coda、Fine | 高さの変更と戻り・終わりの案内 |
| 奏法 | スラー、スタッカート、テヌート、アクセント、ブレス | 音の切り方と重みづけ |
| 強弱・変化 | pp〜ff、sfz、fp、cresc.、dim.、poco a poco | 音量の幅と変化の道筋 |
| 発想・テンポ | dolce、con brio、maestoso、moderato、allegro | 雰囲気と速さの指示 |
| 合奏運用 | ザッツ、縦、ブレンド、バランス、分奏 | そろえ方と練習の進め方 |
| 理解の基礎 | ドイツ音名、Dur/moll、調号、移調楽器 | 読み方と仕組みの土台 |
必要に応じて、自分のパート用に私的な一覧を作ると便利です。
例えばクラリネットなら、B♭管の読み替え表、音域別の指使い注意、アルペジオの運指、ピッチが上がりやすい音のリストなどを1枚にまとめると、練習効率が上がります。
吹奏楽の用語を総まとめ
初心者から経験者まで役立つ基礎と応用を整理し練習や合奏で即活かせる知識が身につきます。
- 変化記号は小節内で効くため再確認が大切
- 反復記号は順路を指でなぞり迷子を防ぐ
- スラーとタイは同音か異音かで見極める
- 発想記号は音色と息で意味を体現していく
- 強弱は着地点を先に決めると線が整いやすい
- crescやdimは開始位置と幅の共有が鍵になる
- 調号はスケールの地図で臨時記号と区別する
- 移調楽器はコンサートピッチとの橋渡しを意識
- ドイツ音名はisとesの付け方をまず覚える
- Durとmollは度数と役割で理解が進みやすい
- チューニングはA442とB♭で耳と針を両立する
- うなりが消える地点を耳で探す習慣をつける
- 合奏用語は何をどこでどのくらいまで言い切る
- よく使う言葉は短文定義で運用語彙にしていく
- かっこいい用語は音のイメージ共有に役立つ

